今さら聞けない印刷用語集 その3「版下」

| コメント(1) | トラックバック(0)
  

DTP全盛の今となっては、本来の意味では死語になりつつある「版下」ですが、意外と私たちは今でも何気なく「版下データ」などという呼び方で使っています。

本来「版下」とは、アナログ製版時代、紙台紙に写植や図版の紙焼き(印画紙)を貼付けてトンボや罫線などをレイアウトしたものの名称でした。この版下台紙を製版カメラで撮影し、印刷用のフィルムを作成していたのです。またDTP初期は、レイアウトが完成したデータを白黒で印画紙に出力し、それを版下として使っていた時代もありました。

アナログ時代の版下は、主に方眼が予め印刷された専用台紙にロットリングペンや烏口でトンボや必要なレイアウトに必要なアタリ罫などを引き、文字は、写植機を使って印画紙に焼いたものを切り貼りしていました。またこれも懐かしい言葉になりましたが、地紋などは「スクリーントーン」を版下に貼付けていました。これらの作業を総称して「フィニッシュワーク」という呼び方もされていました。

そして製版工程へ入稿する前に版下をコピーなど取って文字やレイアウトに間違いがないかを確認する作業が「版下校正」でした。今と違って製版作業に入ってからの修正は時間もコストも掛かり、納期に大きく影響したため、この版下校正でのチェックは非常に入念に行われていました。
また、版下台紙の上には、大抵の場合トレーシングペーパーが被せてあり、ペーパーの上から台紙をなぞるように製版に対する指示などが細かく書き込まれていました。

したがって、版下は、製版のための原稿であると同時に、設計図や作業指示書の役割も果たしており、発注者と製版の現場、さらにはその間を取り持つ営業にとって大事なコミュニケーションツールでもありました。
翻って、この原稿を書くにあたり、昔の版下を引っ張り出してきて眺めていると、現在データ入稿が当たり前になる中、原稿製作と製版作業の垣根が曖昧になり発注者、受注者双方とも版下時代より自分たちがやりとりする原稿に対して責任感がやや希薄になりつつあるような気がしました。

昔の版下。トンボはロットリングペンで引かれており、文字は写植を切り貼りしてある。


左は実際に印刷されたポストカード。右が版下

関連エントリー
今さら聞けない印刷用語集 その1「くわえ」
今さら聞けない印刷用語集 その2「ダブルトーン 」
今さら聞けない印刷用語集 その3「版下」
今さら聞けない印刷用語集 その4「取り都合」
今さら聞けない印刷用語集 その5「付け合わせ」
今さら聞けない印刷用語集 その6「トンボ」
今さら聞けない印刷用語集 その7「塗り足し」

今さら聞けない印刷用語集 その8「オーバープリント」
今さら聞けない印刷用語集 その9「ピンホール」
今さら聞けない印刷用語集 その10「経済ロット」
今さら聞けない印刷用語集 その11「クレーム」
今さら聞けない印刷用語集 その12「Mインキ・Sインキ」
今さら聞けない印刷用語集 その13「オンデマンド印刷」
今さら聞けない印刷用語集 その14「デザイナーとDTPオペレーター」
今さら聞けない印刷用語集 その15「ヤレと予備紙」
今さら聞けない印刷用語集 その16「DICカラーガイド」
今さら聞けない印刷用語集 その17「 色校正」
今さら聞けない印刷用語集 その18「束見本」
今さら聞けない印刷用語集 その19「入稿」と「出稿」
今さら聞けない印刷用語集 その20「罫線」
今さら聞けない印刷用語集 その21「データ入稿」

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.karafuneya.com/mt5/mt-tb.cgi/323

コメント(1)

版下!懐かしい~!
切った貼ったの世界でその昔生きておりました。
DTPの初期のころ、プリントアウトに一晩かかり、使えね~と嘆き、
レイアウトも思いのままにならず、まだまだ機器も高かった。
しばらくはアナログ兼用の時代をすごしましたが・・・
あの頃の美しい印刷がなつかしいです。

からふね屋

株式会社からふね屋は大正10年創業の印刷会社です。

からふね屋が運営している「紙と印刷」製品のショップです。

からふね屋の自費出版部門です。

1本からオリジナル扇子をつくることができます

アーカイブ

最近のコメント

プロフィール

堀尾武史
株式会社からふね屋 代表取締役

昭和36年生まれの丑年
京都生まれ京都育ちの印刷屋四代目社長。
小学1年から大学4年まで剣道にひたすら明け暮れ、一応各年代で全国大会には出場、入賞なども果たす。
同志社大学卒業と同時に親戚の印刷会社で修行、ここで大いにしごかれ現在に至る。
自社にあった活版印刷から写植、フィルム時代を経て現在のDTPまでひと通り印刷については経験、美しい印刷を愛す。
趣味はお酒とアート鑑賞、読書、音楽(JAZZ・ROCK・POP・REGGAE・CLASSICなどオールランド)、TV鑑賞(ガイアの夜明け・カンブリア宮殿・たけしアートビートなどがお気に入り)、ウォーキング。