今さら聞けない印刷用語集 その12 「Mインキ・Sインキ」

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先週は週の半ばに急に気温が下がり、皆さんも体調管理が難しかったことだと思いますが、印刷の現場も気温の急激な変化は大きな影響が出ます。

木曜の朝に協力会社さんから昨日印刷した冊子の表紙が今朝になってもインキが乾いていないので、断裁ができない、との連絡が入りました。この冊子は週末には製本を終えて納品しなければなりませんでしたので非常事態です。

確かにプロセスカラーで全面赤ベタのデザインでしたので、インキはよく盛られていましたが、本機・本紙による色校正の段階でなんら問題がなかったものが、なぜ本番で乾かなくなったかというと、その原因はおそらく気温の急激な変化です。

基本的に印刷用のインキは温度が高いほうが乾燥は速くなり、温度が10度上がれば2倍速く乾燥すると言われています。しかし湿度は高いほうが乾燥は遅れ、湿度が低ければ乾燥は速まります。
そこで気温も湿度も高い夏の時期には粘度の高いハードタイプ(インキの缶に「M」と表記)の夏用インキを、気温も湿度も低い冬の時期は粘度の低いソフトタイプ(同じく「S」と表記)の冬用インキを季節によって使い分けています。

ところが、今年は夏の猛暑の影響のためか、10月の下旬になっても例年に比べて気温が高かったため、まだ夏用インキを使用していたところに、急に気温が10℃近く下がったため、普通なら一晩置いておけばセット(乾燥)するインキが翌日になっても乾かなかったようです。

では、どうやって速く乾かすかというと、基本的には湿度の低い場所で、出来るだけ印刷面に空気を当てて乾燥を促すしかありません。
具体的には、枚葉のオフセット印刷の場合、印刷が終わった後は通常紙を積み重ねたままで乾燥を待つのですが、そうすると、1枚1枚にはよく空気が当たらないので、簀の子などを用いて少量ずつ紙の重なりをバラして、少しでも印刷面に空気が当たるように干します。
極端に言えば、1枚ずつバラバラに干すのがベストです。

今回は、協力会社さんの懸命の手配のおかげでなんとか印刷の翌々日にはインキが乾き、製本作業に入ることができましたので、お客様には迷惑をお掛けすることなく無事納品させていただくことができました。

ちなみにUV装置を設置した印刷機でUVインキを使用した場合は即乾燥しますのでこれらの心配はなく、印刷直後から次の工程にすすむことができますし、また両面印刷の場合も通常は2日がかりのところを1日で両面を刷ることができます。
これはUV(紫外線)を照射することで瞬時に硬化するインキもを使っているためです。

また、スクリーン印刷や活版印刷では、普段から刷り上がった直後から簀の子やラックにバラして干すことが多いようです。


DSC00889.jpg弊社の活版工場で使用していた簀の子

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スクリーン工場で使用しているラック

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コメント(2)

グラフィック・デザイナーを30年ぐらいやっていますが、夏用インクとか冬用インクとかがあることは知りませんでした。ためになりました。ありがとうございます。

コメントをいただき、ありがとうございます。
一般に思われている以上にプリプレス、印刷、ポストプレスとあらゆる工程にわたり、さまざまなノウハウが注ぎ込まれています。
今後も少しずつそれらをご紹介できればと思います。
これからもよろしくお願いいたします。

からふね屋

株式会社からふね屋は大正10年創業の印刷会社です。

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プロフィール

堀尾武史
株式会社からふね屋 代表取締役

昭和36年生まれの丑年
京都生まれ京都育ちの印刷屋四代目社長。
小学1年から大学4年まで剣道にひたすら明け暮れ、一応各年代で全国大会には出場、入賞なども果たす。
同志社大学卒業と同時に親戚の印刷会社で修行、ここで大いにしごかれ現在に至る。
自社にあった活版印刷から写植、フィルム時代を経て現在のDTPまでひと通り印刷については経験、美しい印刷を愛す。
趣味はお酒とアート鑑賞、読書、音楽(JAZZ・ROCK・POP・REGGAE・CLASSICなどオールランド)、TV鑑賞(ガイアの夜明け・カンブリア宮殿・たけしアートビートなどがお気に入り)、ウォーキング。