今さら聞けない印刷用語集 その15「ヤレと予備紙」

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印刷とは、予め決められた枚数を複製する技術で、そのためには複写するための用紙を準備しますが、その際、実際に必要な印刷枚数に加え、一定数の予備紙をいっしょに用意します。

この予備紙の用途は、

  • 刷り出し損紙・・・版の見当合わせや、色濃度調整、色合せなどのための試し刷りのために使う。
  • 刷り損紙・・・印刷の途中に見当や色合わせを確認し、必要に応じて調整する際に使用。
  • 加工・製本用損紙・・・印刷後、抜きや折などの加工や製本作業の際工程上生じるロス。
  • 見本・納本用紙・・・保存用見本や、納品見本として使用する分の用紙。

などがあります。

また上記の他にも、用紙に不良が混じっていたり、印刷中の様々なトラブルからロスが生じる可能性があるため、印刷する側からすれば、少しでも多くの予備紙が用意されているに越したことはないのですが、一方この予備紙の費用も印刷の見積りには含まれているので、その意味では予備紙はちょっとでも少ないほうが良いわけです。

では、標準的に印刷予備紙がどれぐらいの枚数いるかというと、印刷技法や色数、印刷枚数、さらには紙質にも依るので一概には言えませんが、現在主流のオフセット片面4色カラー印刷の場合で、最低でも200〜250枚、枚数が増えればさらに多くの予備紙が必要になります。(1色印刷でも最低100枚は必要)

つまり、例えば100枚だけ4色印刷する場合でも実際は300〜350枚の用紙がいるのです。

なぜかというと、4色印刷機の場合、1台の機械で4つの版胴ユニットがあり、それぞれの胴にセットされた版を通って印刷されてきます。そして一度印刷機を始動させて給紙ユニットから排紙ユニットへ安定した状態のものが出てくるのに最低でも20枚が必要です。つまり見当や色合せの確認を数回繰り返しただけですぐ100枚ぐらいが損紙となるわけです。

それでも最近の印刷機はCTP化や、機械精度の向上などのお陰で、昔に比べれば、刷り出し損紙の数は随分減ってきました。

しかし日々気候の変化や機械のコンディションなどによる影響にも左右されますし、薄紙、厚紙、特殊紙、特色の色出しや、ベタ面積の広い場合などは刷り出し損紙や刷り損紙がより多くでるのは避けられません。

また、美術印刷など特に高い製品基準が求められる場合も、色合せや色濃度調整のための試し刷りの回数が増えてしまうため、予備紙を予め多く用意しないと、最終必要枚数が足らなくなる事態も起こりえます。

いずれにせよ、必要な予備紙の数は、印刷会社の営業が諸条件を鑑みて計算し準備しますが、一番大変なのは、お客様の方で紙をご用意いただき、その紙を預って印刷する場合です。印刷会社に予め必要な枚数をお尋ねいただければ良いのですが、特に高価な紙の場合など、なかなか適正な数量をご支給いただくことが難しいケースもあります。

ただ、予備紙をケチることによって、試し刷りが充分出来ず印刷精度が不安定で刷り直しに至ったり、予測できないトラブルによるロスが生じて必要枚数が不足したりと、結局あとで予想外のコストが掛かることが間々あります。

もちろん印刷会社側も生産性の高い最新の機械や検査機を導入したり、技術を磨いたりして少しでも損紙を減らす努力は日々行なっています。また品質や印刷精度にはあまり良い結果は招かないためコストダウンにつながるか疑問は多いのですが、試し刷り用にヤレ紙(片面が白い損紙)を混ぜて予備紙を削減している印刷会社もあります。

ただ、オフセット印刷の場合で言うと、1/1000ミリ(=1ミクロン)のインキ皮膜を紙の上に均質に乗せる技術なわけですから、不安定要素が非常に多いのも事実です。ですのでお客様のほうでも特に高い仕上り基準を求められる場合は、予備紙の必要性も充分ご理解いただきたいと思います。


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プロフィール

堀尾武史
株式会社からふね屋 代表取締役

昭和36年生まれの丑年
京都生まれ京都育ちの印刷屋四代目社長。
小学1年から大学4年まで剣道にひたすら明け暮れ、一応各年代で全国大会には出場、入賞なども果たす。
同志社大学卒業と同時に親戚の印刷会社で修行、ここで大いにしごかれ現在に至る。
自社にあった活版印刷から写植、フィルム時代を経て現在のDTPまでひと通り印刷については経験、美しい印刷を愛す。
趣味はお酒とアート鑑賞、読書、音楽(JAZZ・ROCK・POP・REGGAE・CLASSICなどオールランド)、TV鑑賞(ガイアの夜明け・カンブリア宮殿・たけしアートビートなどがお気に入り)、ウォーキング。