今さら聞けない印刷用語集 その21「データ入稿」

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少し前に「入稿」と「出稿」の言葉の違いについて当ブログで言及しましたが、今回のテーマは「データ入稿」、つまりお客様から弊社に印刷用にデータを持ち込まれる場合の話をしてみたいと思います。

データの入稿方法は?

昔からデータ入稿の方法として一般的なのが、メディアにコピーして渡す方法です。
古くはフロッピーディスクやMOデイスクからはじまり、現在ではCDやDVDディスクで入稿することが主流になりました。
それと同時にインターネット環境の発達により、ネットを通じてデータを手渡す方法も一般化してきました。
軽いデータは以前からメール添付で送っていましたが、今では多くの印刷会社が自社サーバでFTP入稿できる態勢を用意していますし、無料で大きなデータを送ることができるファイル転送サービスを利用する場合も非常に増えてきました、

印刷用データに適したレイアウトソフトは?

データ入稿で一番よくあるパターンが、デザイナーさんなどからアドビイラストレータやインデザインというレイアウトソフトで制作された印刷用のデータが持ち込まれる場合です。

この場合も、以前は写真原稿がポジフィルムの場合が多く、ポジフィルムを分解してデータ化する高解像度のスキャナーが製版会社などにしかないことが多く、持ち込まれるデータも画像に関してはアタリ(トリミングやサイズ・位置などを示す低解像度のデータ)が配置されていて、印刷会社側で、スキャンして色補正した本データと入れ替えて作業を進めることが多かったのですが、現在では高解像度の撮影が可能なデジタルカメラが非常に普及しているため、デザイナーさんの側でいわゆる「完全データ」を作られてくる場合が増えてきました。

イラストレータやインデザインを使って作られたデータについては、印刷会社も通常同じソフトを使って業務を行っているので、一番都合のよい入稿データなのですが、ただし気を付けなければならない点が2つほどあります。

ひとつは、フォントの互換性の問題です。
データを制作した側で使ったフォントが印刷会社で作業するマシンにない場合、預かったデータを開くと意図したフォントと違う書体に化けてしまいます。
そのため、お互いのフォント環境がわからない場合や、印刷側に同じフォントがないことが分かっている場合は、イラストレータやインデザインの機能を使ってフォントはアウトライン化しておくことが一般的です。

もうひとつは、イラストレーターやインデザインのバージョンの互換性の問題です。
データを出稿する側の制作ソフトのバージョンと、入稿を受け入れる側のソフトのバージョンが本来は同じであることが望ましく、もしくは出稿側より入稿側のほうのバージョンが高い(新しい)場合はほぼ問題はありませんが、その逆の場合は出稿側で入稿側のバージョンまでダウンバージョンして引き渡すことが望まれます。

オフィス系ソフトは印刷用データには適さない!?

ところで、デザイナーさんなどは仕事道具としてイラストレータやインデザイン、それに画像ソフトのフォトショップは必ずと言っていいほどお持ちですが、一般の企業や個人の方は、印刷用データの作成には、マイクロソフトワードやエクセル、それにパワーポイントなどのオフィスソフトを使われます。
実際に会社や家庭のプリンターなどではこれらのソフトで問題なくプリント出力ができるのですが、印刷用の入稿データとして使うにはかなり高いハードルをクリアする必要があります。

まず最初の問題が、イラストレーターなどのいわゆるプロ用のソフトと同じくフォントの互換性です。
特にWindowsOSでもMacOSでも標準搭載のフォントのみを使われている場合は問題は少ないのですが、それ以外のフォントが使われている場合、オフィス系のソフトではフォントのアウトライン化機能もないので文字化けが起こってしまいます。

もしお客様の方でオフィス系のソフトで制作したデータを印刷用PDFに変換していただければ、ほぼフォントの問題もクリアするのですが、PDFの保存形式(PDF X準拠)の選択や印刷用の塗り足しを付けておくなど気をつける点があります。
また、入稿されたデータにあとから印刷会社の方で、例えば文字を直すとか、色を変えるとか、画像を補正するなどの作業は一切できません。

さらにオフィス系ソフトで制作したデータが印刷データに適しなかった場合は、印刷会社のほうでお客様で作られたデータからテキストと画像を一旦引っ張りだして、もう一度イラストレータやインデザインなどのソフトを使って再レイアウトをする必要があります。
したがってコスト面でも時間面でも大きく膨らんでしまうことになってしまいます。

ですので、オフィス系のソフトを使って印刷のレイアウト・デザインをお考えの方は、データ作成の前に一度印刷会社などにご相談されることをお奨めいたします。ほとんどの印刷会社が無料で相談に乗ってくれて見積もりもしてくれるはずですので、お気軽にお尋ねください。

但し、あくまでもオフィス系ソフトは印刷用のレイアウト・デザインには向かないだけで、例えばワードでテキストデータを入稿するなどの使い方にはまったく問題はありません。

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プロフィール

堀尾武史
株式会社からふね屋 代表取締役

昭和36年生まれの丑年
京都生まれ京都育ちの印刷屋四代目社長。
小学1年から大学4年まで剣道にひたすら明け暮れ、一応各年代で全国大会には出場、入賞なども果たす。
同志社大学卒業と同時に親戚の印刷会社で修行、ここで大いにしごかれ現在に至る。
自社にあった活版印刷から写植、フィルム時代を経て現在のDTPまでひと通り印刷については経験、美しい印刷を愛す。
趣味はお酒とアート鑑賞、読書、音楽(JAZZ・ROCK・POP・REGGAE・CLASSICなどオールランド)、TV鑑賞(ガイアの夜明け・カンブリア宮殿・たけしアートビートなどがお気に入り)、ウォーキング。