今さら聞けない印刷用語集 その26「著作権」

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今回のテーマは「著作権」です。
印刷業界にとっても古くて新しい、ある意味永遠に続く問題かもしれません。

ところが、いざブログの記事にしようとすると、あらためて自分自身の知識と理解のあまりの無さに気づき、慌てて参考文献を探して、比較的最近刊行されて、なおかつわかりやすそうな一冊を手に取りました。

「おとなになる前に読みたい、教養としての著作権の話」というコピーが表紙に書かれていて、表題のちょうど三倍の年齢に達している筆者としては、ちょっと遅きに失するかもしれないと思いながら読み進めましたが、具体例をふんだんに紹介しながら、著作権全般についての話を非常にわかりやすく解説されていて大変勉強になりました。

そして著作権とは、創作者の権利を守り、きっちりとその報酬が還元されるために存在するのですが、ただ「創作のコピーを作りそれ売って対価を得る」という旧来の著作権ビジネスモデルは、デジタル化があらゆる分野で進んで、だれでも簡単にコピー(複製)ができる今の時代には、旧来のモデルとは変わっていく必要があることもよく理解できました。

また、
  • 超人気漫画だった「キャンディ・キャンディ」はお蔵入り?
  • ミッフィー対キャシー(ハローキティのキャラクター)事件の「粋な解決」
  • Twitterのつぶやきはテレビなどのマスメディアで転載自由?
  • 「4小節以内なら許可は不要」は都市伝説?
など、著作権にまつわるちょっとしたウンチクネタも楽しめましたので、興味のある方はぜひご一読ください。



ところで、印刷業界で著作権に関係してよく問題となるのが、印刷の版やデータの所有権の所在。いわゆる「版権問題」です。
つまり印刷に使用するフィルムや刷版、あるいは印刷出力用データは、発注者と受注者のどちらのものか?」という議論ですが、これらは法律上、印刷制作の途中に発生する「中間生成物」と呼ばれ、その所有権は受注側に帰属することが過去の判例からも認められています。

したがって発注者がこれらの「中間生成物」の譲渡を要求する場合は、制作に費やされた労力や知識・技術に応じた費用の支払いが必要となると考えるのが一般的です。

とはいえ、もし受注者と発注者の間で「中間生成物」の譲渡が有償によって成立したとしても、発注者はまだ自由にその「中間生成物」を使って印刷物を作成することはできません。

なぜなら、「中間生成物」には、テキストや写真、イラストなどの著作物が含まれていて、それぞれに執筆者やカメラマン、イラストレーターらの著作権が存在してので、これらの権利処理が行われない限り本来は発注者も自由に複製(この場合は印刷)することはできないのです。

実際には、これらの権利処理をすべての案件で細かく履行していくことは現実的ではないかもしれませんが、すくなくとも発注者と受注者の双方が版権の所在と著作権の存在を認識していることは非常に大事なことだと思います。

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プロフィール

堀尾武史
株式会社からふね屋 代表取締役

昭和36年生まれの丑年
京都生まれ京都育ちの印刷屋四代目社長。
小学1年から大学4年まで剣道にひたすら明け暮れ、一応各年代で全国大会には出場、入賞なども果たす。
同志社大学卒業と同時に親戚の印刷会社で修行、ここで大いにしごかれ現在に至る。
自社にあった活版印刷から写植、フィルム時代を経て現在のDTPまでひと通り印刷については経験、美しい印刷を愛す。
趣味はお酒とアート鑑賞、読書、音楽(JAZZ・ROCK・POP・REGGAE・CLASSICなどオールランド)、TV鑑賞(ガイアの夜明け・カンブリア宮殿・たけしアートビートなどがお気に入り)、ウォーキング。